2016.12 Uchikomi Times12月号掲載 

賃貸経営に「マーケティングの時代」が始まる。

10年前に比べて賃貸オーナー、不動産投資家が学べる機会が増えてきた。
その大半は、不動産投資およびリノベーションに関連する会社の紐付きセミナーだ。
この流れに逆行するかの如く、オーナーによるオーナーのための「学び舎」ともいうべき
ビジネススクールを展開する社団法人がある。
その代表理事である「不動産オーナー経営学院」の横山篤司 氏に話を聞いた。

お金もないのに業者だけがすり寄ってくる。

私の家系は代々、名古屋で事業をしておりました。時代とともに父の代で賃貸業となり、さらに、相続争いで資産が4分の3程度になってしまい築古物件だけが残ったのです。
父からいろいろと相談を受けましたが、その頃はニューヨークで経営学を学び、今で言う民泊のようなベンチャー企業を立ち上げていたこともあり、家業を何とかしようという気持ちはありませんでした。ただ心のなかでは、地域に根差してやってきた家業を何とかしたいとずっと思っていました。その後、修行として外資系投資銀行や金融機関で働き、そこで潰れていく会社、伸びている会社の特徴を掴んだのです。そして好調な会社が衰退する会社の不動産を安値で巻き上げる「ハゲタカ」を目の当たりにした際、こう思いました。「次にハゲタカに食われるのは自分ではないのか?」「収益を上げないと差し込まれてしまう」。後継者としてしっかり学ばなければならない。賃貸業も学ばなければならない。古い物件をどう改善していくか?具体例がない。リフォーム会社は「リフォームした方がいい」と言う。税理士は「売った方がいい」と言う。保険会社には「父親のリスクを考えて保険に加入した方がいい」と営業してくる。お金もないのに業者だけがすり寄ってくる。頼れる人が誰もいない。そこでこの状況を打破すべく、不動産オーナー経営学院を立ち上げたのです。

賃貸経営で利益をあげることに、真正面から取り組む

不動産オーナー経営学院は、日本で唯一の不動産オーナーによる不動産オーナーのためのびjネススクールです。今年で3年目、一般社団法人化して2年が経ち、今まで累計で約500名の方が受講しました。大半は賃貸オーナーの方ですが、管理会社、リフォーム会社、士業の方も一緒に学んでおります。

すべての賃貸オーナー共通の課題である「賃貸経営で利益をあげること」に対し、真正面から取り組み、経営者としてどうすればよいのかを考える。オーナーとしてのビジョンを明確にする。

まずは小手先のテクニックではなく「人間学」「経営哲学」から始めます。賃貸経営は「経営学」です。サービスを利用してもらって初めて価値が生まれます。不動産オーナー経営学院はその道筋をつくる場なのです。

「自分の物件を良くしたい」だからこのアイデアを採用する。リフォーム会社も営利企業ですから、「まずリフォームしましょう」と勧めてきます。どのプランが自分にとって最適なのかを選択できるようにするには勉強が必要なのです。

賃貸経営にもマーケティングの概念を

どのような物件を提供すれば、その地域のニーズに合致するのか?「駅から徒歩○○分、○○DKのマンションです」そんな情報はどこにでもあります。わざわざサイトに掲載する意味がない。今の時代、「テーマ」が必要なのです。その地域のニーズに合致するテーマが何なのかを徹底的に分析する。この業界にはまだまだマーケティングという概念が行き届いておりません。すぐ埋めようと思って、企業が提供するサービスを鵜呑みにして実行するのではなく、自分たちの物件が「今までにどんな成約をしてきたのか」「どんな方が入居していたのか」を徹底的に分析するところから学ぶのです。物件写真のクオリティはどうだろうか?条件がはっきりしているか?特典をつけて「内見したい」と入居希望者に思わせるチラシになっているか?入居希望者がどこにいて、どういった理由で自分たちの物件を選んでくれたのか?

オーナーは判断業です。収益のシミュレーションを作成し、どこにお金をかけ、どこにお金をかけないかを判断する。そして実践する。ただその判断力をどうやって身につけるか?不動産オーナー経営学院ではそれを身につけることができます。

カリキュラムは半年で全6回、受講料は6万円です。次回の入学は2017年1月からで100名くらいの受講申し込みを想定しております。

今後はこのビジネススクールを通じて、街づくりに貢献していきたいと考えています。オーナーの物件も街を彩る一つの要素です。自分の物件にどういう価値を生み出していくか。たくさんの人がその街に住めば、自然と街は活性化していきます。そんな「街づくり」に貢献していきたいですね。

プロフィール
横山篤司(よこやまあつし)
一般社団法人 不動産オーナー経営学院 代表理事
ニューヨークで経営学を学び、ベンチャー企業を起こす。帰国後、外資系投資銀行、金融機関に勤め、現在は家業の経営の傍ら、不動産オーナー経営学院の代表理事として活躍。